・・・ さて、空を大きく四へん廻ったとき、大監督が、「分れっ、解散」と云いながら、列をはなれて杉の木の大監督官舎におりました。みんな列をほごしてじぶんの営舎に帰りました。 烏の大尉は、けれども、すぐに自分の営舎に帰らないで、ひとり、西・・・ 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
・・・ さてだんだん夜も更けましたので会長さんが立って、「やあこれで解散だ。諸君めでたしめでたし。ワッハッハ。」とやって会は終りました。 そこで山男は顔をまっかにして肩をゆすって一度にはしごだんを四つくらいずつ飛んで玄関へ降りて行きま・・・ 宮沢賢治 「紫紺染について」
・・・が、無事に千回以上の公演をつづけたが、一九三六年、解散させられた。チューリッヒで、「公安妨害」の口実で公演禁止されたのをはじめとして、ナチス外交官が出さきの外国でまでエリカの活動を妨害して、とうとう、それを解散させてしまったのであった。この・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・京漢鉄道総工会の成立大会を武力解散させた軍閥呉佩孚に対して中国労働者がジェネストを起し、英国の労働運動に一つのエポックをつくった。今日三百万の党員をもち中国人口の三五パーセントを解放地区に包括しつつある中共は、一九二三年に第三次党大会をもち・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・「再解散させても思う通りにする」と、どんな背後の力をたのんでのことか、心あるすべての人々を憤らせる居直りぶりが示されている。『世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ 日が暮れて、すべてのデモが解散した後も、ここはまだ一杯の人出である。レーニン廟の板がこいの壁画をめぐって、イルミネーションがともされた。 有名な昔の首切台の中には、雲つくような労働者の群像が飾られている。 強烈なアーク燈に照ら・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・は遂に一九三四年二月解散するに到った。経験に富んだ活動家を失ってからの仕事は内外とも実にむずかしく、稲子さんも私も全力をつくして階級的に正常なものであると考えられる方向に向って行動するために努力したのであったが、客観的な結果としてはそれが十・・・ 宮本百合子 「窪川稲子のこと」
・・・日婦が、一応解散したとき一億円だかの財産があった。それも、どこかの役所にしまいこまれている。 失業者は二月下旬に五百八十三万人と云われた。これは、日本の失業統計のレコード破りである。これだけの人数が、みんな一ヵ月世帯主三〇〇円、家族数一・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・そのほかわれわれが考えなければならないことは、今の憲法草案には天皇は議会を解散させることができるとなっています。そうすると私共がどんなに良心的によい代議士を選んでも、たったひとりの人が議会を解散するといって、それを書いた紙をもって捧げて読め・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・ 連合軍司令部は、総選挙の結果によっては、もう一度議会を解散させる方針であるということを、アメリカの新聞から伝えられました。 私たちが、まだ十分自覚し用意していないすきに乗じて、再び人民に軛をかける金持、地主、ダラ幹の政党が、バッコ・・・ 宮本百合子 「幸福のために」
出典:青空文庫