・・・という気がした。また「麦秋」という訳名であるが、旱魃で水をほしがっているあの画面の植物は自分にはどうも黍か唐黍かとしか思われなかった。 主人公の「野性的好男子」もわれらのような旧時代のものにはどうもあまり好感の持てないタイプである。しか・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・という作品をよんだ。これは粗雑な訳で、文学的な香りは文学からすっかりぬかれていてつまりは話の筋を読むような情けないものではあったが、それでも作品として受けた感情は浅くなかった。「山の英雄」という訳名よりも、「ほかの神々」という原名の方が遙に・・・ 宮本百合子 「文学の大陸的性格について」
出典:青空文庫