・・・梶は、そのことの生き証人の如き観がある。梶は、国際列車にもまだ沢山の乗換場所がいる、というような言葉を機械的に暗誦し易いフレーズにまとめて云っているのであるが、この見解がもし作者自身にとって具体的な内容で把握されているのであったら、関西財界・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・彼はこの間にいやという程ツァー時代のロシア官吏、司祭等の腐敗した生活ぶりの証人となった。 ニージュニへ再び戻ってからは或る弁護士の書記の口を見つけた。二年の間ゴーリキイは書記をする傍ら同じ市の急進的なグループとつき合っていたが、その時代・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・協議離婚として、離婚しようとする対手の夫がその申出を承認し、二人の証人も承認し、妻がわかければ、妻の生家の戸主の署名までなければ、離婚は不可能であった。妻が夫の乱行に耐えず、また冷遇にたえがたくて離婚したくても、夫が承知しなければ、生涯ただ・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・ 四月二十三日の週刊朝日「菅証人はなぜ自殺したか」という記事は、特別調査委員会における速記録の一部をのせて、この悲劇の核心を照し出しています。 委員たちが、菅氏にしつこく、くい下った質問は、どれも常識をはずれたいいがかりと、・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫