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・・・ 彼が、関係を描破した作家であるということには、未来への示唆があり、この作家が文学上のモニュメントとなってしまわず常に生きかえる力をもっていることの証左である。 何故なら、二十世紀後半の文学は、益々人間の集団と集団の関係を真実のテー・・・
宮本百合子
「バルザックについてのノート」
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・・・彼らは私の眼に、世界と人間とが尽くることなき享楽の対象であることの、具体的な証左であった。そのころの私には Sollen の重荷に苦しむ人が笑うべく怯懦に見えた。享楽に飽満しない人が恐ろしく貧弱に見えた。IやJやKが真に愛着に価する人間に見・・・
和辻哲郎
「転向」