・・・という映画は近ごろ評判にのぼったものの一つであったらしい。女の画家や、作家がそのつよい印象を語っていられる文章をどこかの広告でも読んだ。母ジェニファーの新しい愛人、そして良人として現われたコルベット卿をやっている俳優が、英国風の紳士というも・・・ 宮本百合子 「雨の昼」
・・・彼らはまた穀類の出来不出来の評判を尋ね合っている。気候が青物には申し分ないが、小麦には少し湿っているとの事。 この時突然、店の庭先で太鼓がとどろいた、とんと物にかまわぬ人のほかは大方、跳り立って、戸口や窓のところに駆けて出た、口の中をも・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
・・・とお家流で書いた看板の下を潜って、若い小学教員が一人度々出入をしていたということが、後になって評判せられた。 森鴎外 「カズイスチカ」
・・・多胡辰敬は尼子氏の部将で、石見の刺賀岩山城を守っていた人であるが、その祖先の多胡重俊は、将軍義満に仕え、日本一のばくち打ちという評判を取った人であった。後三代、ばくちの名人が続いたが、辰敬の祖父はばくちをやめ、応仁の乱の際に京都で武名をあげ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫