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・・・自分でそのころの詩作上の態度を振返ってみて、一ついいたいことがある。それは、実感を詩に歌うまでには、ずいぶん煩瑣な手続を要したということである。たとえば、ちょっとした空地に高さ一丈ぐらいの木が立っていて、それに日があたっているのを見てある感・・・
石川啄木
「弓町より」
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・・・『若菜集』の序のうたに、藤村は自分の詩作を葡萄の実になぞらえている。この一巻に収められている「草枕」「あけぼの」「春は来ぬ」「潮音」「君がこゝろは」「狐のわざ」「林の歌」等いずれも、自然にうち向かって心を傾け物を云いかけ、人か自然か自然・・・
宮本百合子
「藤村の文学にうつる自然」