-
・・・それは日本の国語がまだ語格までも変るほどには変遷していないということを指摘したにすぎなかった。 人の素養と趣味とは人によって違う。ある内容を表出せんとするにあたって、文語によると口語によるとは詩人の自由である。詩人はただ自己の最も便利と・・・
石川啄木
「弓町より」
-
・・・君は語格文法に精しい。文章を分析して細かい事を云う。私はそんな時に始て聞く術語に出くわして驚くことがある。しかし君の書いたドイツ文には漢学者の謂う和習がある。ドイツ人ならばそうは云わぬと、私が指してきする。君が服せぬと、私は旅中にも持ってい・・・
森鴎外
「二人の友」