初めてあなたのお書きになるものを読んだのは、昔、読売新聞にあなたが「二人の小さいヴァガボンド」という小説を発表なさったときであり、その頃私は女学校の上級生で、きわめて粗雑ながら子供の心理の輪廓などを教わっていた時分のことで・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
・・・といっているのである。読売新聞の時評はいち早くこの卓見に同調して、労働者に家族手当を出すので子供を生む。家族手当をやめよ、賃銀を労働者一人の能率払いにせよ、と書いている。『中央公論』は、仄聞するところによると十万の出版部数をもっているそ・・・ 宮本百合子 「鬼畜の言葉」
十一月号の『中央公論』に「杉垣」という短篇を書いた。その評の一つとして武田麟太郎氏の月評が『読売新聞』に出ているのを読んだ。「勤め人夫婦が激動する時代の波濤の中でいかに理性的に生くべきかを追究する次第を叙し」「各人物の・・・ 宮本百合子 「現実と文学」
・・・ていることを遺憾に思っている真面目な人々は、十一月三日のほとんどすべての新聞がデューイ氏当選確定とかき、デューイ氏断然勝たん、共和党早くも祝賀準備と、まるで丸の内へんで見てでも来たような記事をのせ、『読売新聞』が第一面の中央に、白堊館の主と・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・政治と文化とを一貫して、世相を押しきったこのような潮流は、一九四九年度の毎日文化賞の準備調査、読売新聞社の良書ベスト・テンの調査などで、諸々批判のおこっている永井ものがトップをしめ、「宮本武蔵」や「親鸞」「風とともに去りぬ」「細雪」「流れる・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・吉田首相は去年の秋頃、読売新聞の馬場社長と対談の中で、日本の将来について、先ず「外国人の安住の地に」したいと云う意味の事を話していました。私はその一言がどうしても忘れられません。日本は日本の人民の祖国であり、皆がそこで真面目に働いて、愛する・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
去る六月十一日、読売新聞の「世界への反逆」という文章で中島健蔵氏が、記録文学の名のもとにジャーナリズムにあらわれはじめた戦記ものの本質について注意をよびおこしたのは適切であった。 本年のはじめごろ『雄鶏通信』が国外のル・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・が行われた。読売新聞が社説「人権擁護の完全を期するために」で第一、警察官の民主化の実行、第二、地方刑罰条例の濫発への警告――売春等取締条例・公安条例など「国会で決定せず、地方自治体できめしかもムヤミにつくりたがる傾向」を批判していた。一九四・・・ 宮本百合子 「修身」
・・・『読売新聞』で、杉山平助氏が「党生活者」第六部を批評していたが、それは、この作品が五月号の部分では最も明瞭に且つ重点をそこにおいて企業内の反動政策との闘争について書いているのに肝心のそのところはちっとも理解せず、同志伊藤や笠原という婦人・・・ 宮本百合子 「小説の読みどころ」
・・・『読売新聞』夕刊につく重宝欄は、おそらく大抵の女のひとに一応は読まれているであろう。だがああいうものは、教養とは凡そ反対の社会相を反映するものだと思う。今日の世の中で、体裁よい小市民生活をやりくってゆくためには、家庭の女がどんなせっぱつ・・・ 宮本百合子 「女性の教養と新聞」
出典:青空文庫