・・・ 私は終戦後、新聞の論調の変化を、まるでレヴューを見る如く、面白いと思ったが、しかし、国賊という言葉はさすがの新聞も使わなかった。が、私は「国賊にして国辱」なる多くの人人が「一億総懺悔」という標語のかげにかくれて、やに下っている光景を想・・・ 織田作之助 「終戦前後」
・・・文学と大衆との無批判性、大人の文学、文学における日本的なものの強調等は、文学の全体としての健全な発展のために自省され、再評価されるべき範囲を脱し、文学を論じつつ、その論調を文学以外の規準で律するような危険を示して来た。批評文学は、昨年既に批・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 入学試験の新考査法についてこの春様々の論調があったとき、衆口おのずから一致したのは、小学教員のおかれている経済的誘惑の点であった。 謹直な教師たちに屈辱感を与えたにちがいないその問題は、しかし、愈物的条件の切迫した来春どんな形で再・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・を附し、この四六判二百九十余頁に亙るトロツキーの「絢爛たる文彩、迫撃砲の如き論調、山積せる材料、苛辣なる皮肉」が結局「どんなに善意に解釈しても、ソヴィエットの社会主義的進化の実状に対するトロツキーの思想と思索方法とが全く動脈硬化的な抽象論を・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫