・・・「日本大家論集」という博文館の最初の試みの雑誌が物議を生じた。其結果、出版法だか新聞雑誌条例だかの一部が修正された。博文館は少くも世間を騒がし驚かした一事に於て成功した。小生は此の「大家論集」の愛読者であった。小生ばかりでなく、当時の貧・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・馬鹿と面罵するより他に仕様のなかった男、エリオットの、文学論集をわざと骨折って読み、伊東静雄の詩集、「わがひとに与ふる哀歌。」を保田与重郎が送ってくれ、わがひととは、私のことだときめて再読、そのほか、ダヴィンチ、ミケランジェロの評伝、おのお・・・ 太宰治 「碧眼托鉢」
宮本顕治には、これまで四冊の文芸評論集がある。『レーニン主義文学闘争への道』『文芸評論』『敗北の文学』『人民の文学』。治安維持法と戦争との長い年月の間はじめの二冊の文芸評論集は発禁になっていた。著者が十二年間の獄中生活から・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・ このことは、六百六十一頁もあるこの文学論集を貫く一つの特別な味であると思う。そして、この著者が『文芸』二月号に書いている「私の批評家的生い立ち」と合わせて、私は永年の友達であるこの著者の人柄や心持ちなどの真髄を、あらためて印象のうちに・・・ 宮本百合子 「作家に語りかける言葉」
出典:青空文庫