・・・ 不幸にも、当時ヒューマニズム、行動主義の文学及創作方法における右の如き弱き諸点に対して、発展の翹望に添えて正当な警告を提出し得たものは、既に兵を語るべからざる敗軍の将のように見られていたプロレタリア作家・評論家の二三の者であった。彼等・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・実際に著者は、この第二篇で追究した諸点を文芸評論家としての自身の評価のよりどころ、評価の方法として、他の諸篇にふくまれた労作をなしとげている。文芸思潮史としてこの一巻をまとめることを念願したとあとがきに書かれているが、批評及び文芸思潮史の方・・・ 宮本百合子 「作家に語りかける言葉」
・・・ ジイド自身にもしこれらの諸点が分っていたらU・R・S・Sの民衆の持っている幸福の可能の現実的根拠、社会生産関係の上での歴然たるよりどころを見のがしはしなかったであろう。ロシアの民衆が過去にもっていた歴史的な桎梏の性質と、今日の事情との・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ 同志藤森、林の批判の批判は、それらの諸点をこそ明らかにすべきであった。批判によって、筆者と大衆とを高めてこそ「批判の批判」たり得るのである。 もし又、中條の批評が右翼的偏向との闘争をとりあげたそのことにおいて誤っていると考えられた・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・数十名の弁護人ならびに三分の二の傍聴人により法廷を制圧している等の諸点をあげて示威した。 裁判長「法廷を制圧しているとはどんな意味か。」 川口検事「多数を占めているとの意味です。」 裁判長「制圧しているとは不穏当であるからとり消・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ それまで漠然とある小説なら小説を読んでいた人は、その小説に対するそういう批評を見て、はじめて、その小説の社会における客観的な意味を理解する場合があるだろうし、作者自身もまた、それまでは自覚しなかった諸点を、その批評によって自身の社会的な認・・・ 宮本百合子 「近頃の感想」
・・・ この際、同志小林多喜二の業績の評価に当って基準となるべき諸点を概括し、それによって、誤謬を含む見解を正すとともに、評価を統一することは、わが「コップ」中央協議会の責務の一つであると信じる。プロレタリア文化・文学運動の今後の正しい発展は・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・一層解って貰えるように、一層、心に入り易いように、先日話した諸点を、又繰返すほかないのである。 二人は陰気な心持で、夜店の賑やかな肴町の大通りを抜けた。 H町の通りは、相変らず暗い。ずっと右手に続いた杉林の叢の裡では盛に轡虫が鳴きし・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・プロレタリア文学における大衆性の理解、人間性というものについての理解、民族の文学に対する理解、それらの重要な諸点は、これまでのプロレタリア文学理論の中で勿論基本的に健全にとりあげられてはいたが、個々の作家の生活感情の中へまで、新時代の作家的・・・ 宮本百合子 「プロ文学の中間報告」
・・・ 本部の会議の席上いわれた書記長の発言を要約すると大体左の諸点のようです。一 宮本百合子の作品は大衆によまれていない。書記長は三行以上よめない。階級性がなくて多面性がない。観念的である。二 宮本百合子は、ごうまんで天狗になっ・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫