・・・それは、昔のヨーロッパが、封建諸王によって分割統治されていた時代の首都が、既に一定の文化水準に達していたということも原因である。けれども、もっと重大なことは、それらの封建都市は、やがて近代社会の発達とともに次第に市民的都市となって行ったとい・・・ 宮本百合子 「木の芽だち」
・・・が書き上った時、バルザックはこれこそ「民衆と諸王との祈祷書」になり得る作品であると信じ、両親や友達を集め、朗読会を催した。彼が数ヵ月の間、部屋も出ず、レモン水と堅パンとで暮しながら書き上げた「クロンウェル」の効果は意外であった。 朗読は・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ヨーロッパの封建時代の男女関係と、日本の封建時代のそれとを比較して見ることは興味があると思う。ヨーロッパの封建諸王の時代は中世の伝説に現われている通り、アーサー王やランスロットの物語によって伝えられているような騎士気質が支配していた。騎士時・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫