・・・二日の午後三時に政府は臨時震災救護事務局というものを組織し、さしあたり九百五十万円の救護資金を支出して、り災者へ食糧、飲料水をくばり、傷病者の手あて以下、交通、通信、衛生、防備、警備の手くばりをつけました。同日午後五時に、山本伯の内閣が出来・・・ 鈴木三重吉 「大震火災記」
・・・らしい、コルネット、クラリネットのジンタ音楽に交じって花屋敷を案内する声が陽気にきこえていた。警備の巡査、兵士、それから新聞社、保険会社、宗教団体等の慰問隊の自動車、それから、なんの目的とも知れず流れ込むいろいろの人の行きかいを、美しい小春・・・ 寺田寅彦 「時事雑感」
・・・在郷軍人、消防夫、警官などの姿がちらつき手に手に提灯をかざして、警備している。福井を出発する時、前日頃、軽井沢で汽車爆破を企た暴徒が数十名捕えられ、数人は逃げたと云う噂があった。旅客は皆それを聞き知ってい、中にはこと更「いよいよ危険区域に入・・・ 宮本百合子 「私の覚え書」
出典:青空文庫