・・・と見れば、豆板屋、金米糖、ぶっ切り飴もガラスの蓋の下にはいっており、その隣は鯛焼屋、尻尾まで餡がはいっている焼きたてで、新聞紙に包んでも持てぬくらい熱い。そして、粘土細工、積木細工、絵草紙、メンコ、びいどろのおはじき、花火、河豚の提灯、奥州・・・ 織田作之助 「アド・バルーン」
・・・、冷やしコーヒ、氷西瓜、ビイドロのおはじき、花火、水中で花の咲く造花、水鉄砲、水で書く万年筆、何でもひっつく万能水糊、猿又の紐通し、日光写真、白髪染め、奥州名物孫太郎虫、迷子札、銭亀、金魚、二十日鼠、豆板、しょうが飴、なめているうちに色の変・・・ 織田作之助 「道なき道」
・・・支那とこんなことんなってはあ早速豆板が上っただよ。こないだ××さんが買った時は一円二銭だったのがは、一円二十二銭しるだアよ」「おーさ。石油も上りはじめただよ」「こいでまた繭の値はがた落ちだし、どっち向いてもいいことはねえ」 が、・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
出典:青空文庫