・・・婦人に対する礼と保護との男性的負荷を見よ、事業と生活に対する熱情と欲望とを見よ。そしてこれらのものにして欠けていないならば、あまりに窮屈な、理解のないことをいうな。極端な束縛とヒステリーとは夫の人物を小さくし、その羽翼をぐばかりでなく、また・・・ 倉田百三 「愛の問題(夫婦愛)」
・・・何の内助の才能もなく、一生の負荷となるような女性と、きわめて不相応な時機に、ただ運命的な恋愛のみの故で、はなれ難く結びつくことはあり得るものだ。そして恋愛と結婚との真実の根拠はこの運命的な恋愛のみの上にあるのであって、その他は善悪とも付加条・・・ 倉田百三 「学生と生活」
・・・それだけの負荷をあえて人間の精神、母なるものの霊性に課したいのである。永遠の母とはかかる母を呼ぶべきものであろう。 ゴーリキーの小説『母』の中の母親や、拙作『布施太子の入山』の中の太子の母などは、この種の道と法とに高められ、照らされた、・・・ 倉田百三 「女性の諸問題」
・・・これは自然が婦人に課したる特殊負荷であって厳粛なものでありこれがある以上、決して、職業の問題について、男子と婦人とを同一に考えるべきものではない。この意味においては、われわれは蘇露のコロンタイ女史の如く、一にも二にも託児所主義であって、男子・・・ 倉田百三 「婦人と職業」
出典:青空文庫