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・・・いかの大漁があったのが販路を失って浜で腐ったのであった。上陸後半日もすると、われわれ一行の鼻の神経は悪臭に対して無感覚となって、うまく飯が食えるようになった。 千歳という岬端の村で半日くらい観測した時は、土地の豪家で昼食を食わしてもらっ・・・
寺田寅彦
「夏」
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・・・の間に販路をひろめるために、若い夢をかきたてている。 十代が、ジャーナリズムの新しい開拓地と見られているのではないかということを、わかい女性は案外批判しはじめている。 いわゆる少女向の雑誌や、少女歌劇につながる趣味――少女趣味一般は・・・
宮本百合子
「若い人たちの意志」