・・・養の権利、失業の保険、養老の保険、現在のような生産手段の独専所有にたいする制限のないことも手落ちであるし、男女平等という、婦人の心につよく訴える規定のなかに、社会的平等の地盤となる同一労働に対する同一賃金の必要や、まだ日本に決められていない・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・ メーデーのスローガンのなかに、生活費を土台とする最低賃金制度を確立してほしい、ということがあります。一軒一軒の家庭の主婦として、これをきき流すことが出来ましょうか。去年から度々危機突破資金をとっても、決してそれは、気ちがいじみた物・・・ 宮本百合子 「メーデーと婦人の生活」
・・・何故なら景気がよい、就業率は上向きだと云っても、工場に働いている人々の賃銀の上昇には残業割増、歩増などの時間外労働強化がついているのであるし、小売物価の急激な騰貴は結局、いくらかましな工場労働者の賃金をも今日では凌いでしまっている。実質賃銀・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・そしてパレスタイン労働賃金は、 不熱練 熱練 志.片. 志.片.猶太人 ……4/2―5/2 6/3―8/4アラブ人……1/3―2/1 3/1 交通機関の血圧上昇が・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・ 最低賃金というものが公表された。二十五歳から五十歳までの男子最低四百五十円。これは成程今までの諸官省の据置月給のひどさから見れば、一応適正な処置である。しかし家計簿と最低賃金四百五十円也というものを睨み合せて見ると、不思議なことが起る・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ やすいやすい賃金でも働く婦人が黙っておとなしく搾られているよう、若い働く婦人の物の考えようをブルジョア、地主の都合よいものにするよう、隅から隅まで考えてつくられているのです。『働く婦人』と正反対です。『働く婦人』は隅から隅までわれ・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
出典:青空文庫