・・・けれどもその軽蔑にもかかわらず、他の一面では、彼の名づける小豚派文学の、発生の社会的起源について、否定しきれないものをもっている。はげしい前線の生活も経験して来た壮年の一部の作家たちが、戦後日本の錯雑した現実に面して、過去の私小説的なリアリ・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・これは、火の起源の話ですが、プロメシュースという若者が人間の生活に火が必要だと考え、天上の神様の火を盗んでまいりました。人間が火を得たということは人間の社会の発達のために、大きな歴史であったわけですが、それを、ギリシャ神話では、プロメシュー・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・や家族、私有財産及び国家の起源に関するエンゲルスの著作などは、その見解に対する賛否はいずれにせよ、その部門での古典として何人も読まざるを得ないものであるから、既にこれらの極めて具体的でありリアリスティックな諸研究のうちに十分とりあげられ、そ・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・ ○ユーモアの各種の起源 ○しかしこの節度は大戦後やぶられた。やぶられつつやぶられない というような有様 ショウ ロレンス ジョイス ○英国人の誇恃の種類 スペインに行ってもイ・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・さきにのべたような当時の社会の巨大な息づきは、ヴィクトーリア時代の淑女の活動的な精力を、社会改善へ向けさせたのであったが、その社会の「悪の起源」を究明する段になると、ナイチンゲールは、スープをのむには匙がいると考えて、それを手に入れたと同様・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・社会主義の社会での婦人勤労状態や日常生活のあらそいを理解しており、「家族・私有財産・国家の起源」も婦人の歴史的地位を語る本としてあれほど分って読んだと思うのに、身に迫った男女関係の著しく不幸な戦後的混乱の前には、われからたじろぐ感情があるこ・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・こんにちエンゲルス「家族・私有財産・国家の起源」「空想より科学へ」マルクス「賃労働と資本」などは婦人の常識の基礎としても必読の本である。 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
・・・大学にいる間、秀麿はこの期にはこれこれの講義を聴くと云うことを、精しく子爵の所へ知らせてよこしたが、その中にはイタリア復興時代だとか、宗教革新の起原だとか云うような、歴史その物の講義と、史的研究の原理と云うような、抽象的な史学の講義とがある・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・が、その謎めいて古い起源が我々には魔力的に感ぜられるのである。 和辻哲郎 「アフリカの文化」
・・・歌舞伎芝居において特に顕著に首を動かす一、二の型を頭に浮かべつつ、それが自然な人間の動作のどこに起源を持つかを考えてみるがよい。そこにおのずから、人形の首の運動が演技様式発展の媒介者として存することを見いだし得るであろう。 あるいはまた・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫