・・・晩年大学蹴球部の部長をつとめていたが、部の学生達は君を名づけて「オヤジ」と云っていた。部内の世話は勿論、部員学生の一身上の心配までした。 鉄腸居士を父とし、天台道士を師とし、木堂翁に私淑していたかと思われる末広君には一面気鋒の鋭い点があ・・・ 寺田寅彦 「工学博士末広恭二君」
・・・近代的のものでもゴルフの外に庭球野球蹴球籠球排球などがあり、今は流行らぬクリケット、クロケーから、室内用にはピンポン、ビリアードそれから例のコリントゲームまである。日本の昔でも手鞠や打毬や蹴鞠はかなり古いものらしい。 人間ばかりかと思う・・・ 寺田寅彦 「ゴルフ随行記」
・・・ 古典的なオペラ・バレーを演じている国立オペラ舞踊劇場でさえ「蹴球選手」という五ヵ年計画を主題の中へとり入れたバレーを上演した。 カターエフの「前衛」がワフタンゴフ劇場で演じられる。 レーニングラードからきたトラムは農村における・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ロシアの新しい運動、蹴球。一名、動的生活。球の皮と皮との継ぎ目には“К”とスタンプが押してある。 一ヵ月経った。モスクワの春がむら気に近づいてきた。雪がひどく降った。 雪の中を私はいつも変らぬ我が道伴れとともに借室を見に行った。そこ・・・ 宮本百合子 「シナーニ書店のベンチ」
・・・――第一国立オペラ舞踊劇場バレー「蹴球選手」 グルジューモフ作 中国革命と中国の美しい娘。帝国主義と軍国主義とを主題にした「赤いけし」がソヴェトの新しいバレーとして紹介されてから数年たつ。・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
出典:青空文庫