・・・ 一度退却した馬占山の黒龍江軍は、再び逆襲を試みるために、弾薬や砲を整え、兵力を集中していた。ロシアは、それを後援している。「支那人朝鮮人」共産軍がブラゴウェチェンスクから増援隊として出動した。そういう噂が、各中隊にもっぱらとなって・・・ 黒島伝治 「チチハルまで」
・・・ 見晴しのきく、いくらか高いところで、兵士は、焼け出されて逃げてくる百姓を待ち受けて射撃した。逆襲される心配がないことは兵士の射撃を正確にした。 こっちに散らばっている兵士の銃口から硝煙がパッと上る。すると、包囲線をめがけて走せて来・・・ 黒島伝治 「パルチザン・ウォルコフ」
・・・そしたら『あいつは虎でないとでもいうのか』と逆襲してやる。『そして僕が狐でないと誰が言いましたか。』十、君不看双眼色、不語似無愁――いい句だ。では元気で、僕のことを宣伝して呉れと筆をとること右の如し。林彪太郎。太宰治様机下。」「メクラソ・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 自分は不意に逆襲を受けた人のように、看護婦を見た。看護婦は続けて云った。「毎朝六時頃になるときっとするように思いましたが」「うん、あれか」と自分は思い出したようについ大きな声を出した。「あれはね、自働革砥の音だ。毎朝髭を剃るん・・・ 夏目漱石 「変な音」
・・・ 対手の悪と醜とを暴露し、やっつけるぎりの消極的諷刺から、諷刺する主体、プロレタリアートの逆襲的勝利、社会的価値の再認識ということまでを含めて扱うところまで進歩して来た。 日本でも、まだ数こそ少ないが、この方面で面白いプロレタリア漫・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・それは文化活動をふくむプロレタリア解放運動の全線で、わたしらが一歩でも正しいわたし達の主張を守ろうと思うなら、そのためにすべきことは敵の暴圧に対する精力的で科学的な逆襲があるばかりであるということです。 私は宮本顕治と結婚して一ヵ月半ば・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
・・・「暴圧の意義及びそれに対する逆襲を我々はいかに組織すべきか」という巻頭論文がのっている。貪るように読んだ。同志蔵原をはじめ、多くの同志たちの不撓の闘争が語られてある。その中に自分の名も加わっている。読んでいるうちに覚えず涙がこぼれそうになっ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・赤軍が逆襲して、市ソヴェトに赤旗が翻ったかと思うと、チェッコの侵入軍が、派手な制服の士官に引率されて襲撃して来る。 赤旗をかくせ! 党の政治部は書類を焼きすてて地下へもぐった。工場の門前にバリケードが築かれる。やって来るならやって来・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫