・・・明治の時代中ある短日月の間、文章と云えば、作に露伴紅葉四迷篁村緑雨美妙等があって、評に逍遥鴎外があるなどと云ったことがある。これは筆を執る人の間で唱えたのであるが、世間のものもそれに応じて、漫りに予を諸才子の中に算えるようになって居た。姑く・・・ 森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
市の中心を距ること遠き公園の人気少き道を男女逍遥す。 女。そこでこれ切りおしまいにいたしましょうね。まあ、お互に成行に任せた方が一番よろしゅうございますからね。つまりそうした時が来ましたのですわ。さあ、お別れにこの手に・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「最終の午後」
出典:青空文庫