・・・で、代表的な学校、をえらび、毎月連載したいと思います。ついては、先ず来月は帝大の巻にしたいと思いますが、貴方様にお願いできないかと思うのです。四百字詰原稿十五枚前後、内容はリアルに面白くお願いしたいと存じます。締切は、かならず、厳守して頂き・・・ 太宰治 「二十世紀旗手」
・・・本誌連載中、同郷の友たる今官一君の「海鴎の章。」を読み、その快文章、私の胸でさえ躍らされた。このみごとなる文章の行く先々を見つめ居る者、けっして、私のみに非ざることを確信して居る。健康 なんにもしたくないという無意志の状態は・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・ つい近ごろになってある新聞にいろいろなペットの話が連載されているうちに知名の某家の猫のことが出ていて、その三匹の猫の写真が掲載されていた。そのうちの一匹がどうも前述のいわゆるアンゴラに似ているように思われた。これだけでは何も問題にはな・・・ 寺田寅彦 「ある探偵事件」
・・・には用心しなければいけない。映画の実例についての著者の所論や感想は「続冬彦集」に集録してあるから読んでもらいたい。姉妹芸術としての俳諧連句については昭和六年三月以後雑誌「渋柿」に連載した拙著論文【「連句雑俎」】を参照されたい。現在の論文は、・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・ ずっと前に、週刊ロンドン・タイムスで、かの地の裁判所における刑事裁判の忠実な筆記が連載されているのを、時々読んでみたことがある。それはいかなる小説よりもおもしろく、いかなる修身書よりも身にしみ、またいかなる実用心理学教科書よりも人間の・・・ 寺田寅彦 「ニュース映画と新聞記事」
・・・不折の一番得意で他に及ぶ者のないのは『日本』に連載するような意匠画でこれこそ他に類がない。配合の巧みな事材料の豊富なのには驚いてしまう。例えば犬百題など云う難題でも何処かから材料を引っぱり出して来て苦もなく拵える。いったい無学と云ってよい男・・・ 寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
・・・秋坪は旧幕府の時より成島柳北と親しかったので、その戯著小西湖佳話は柳北の編輯する花月新誌の第四十四号からその誌上に連載せられた。佳話の初にまず公園の勝概が述べてある。わたくしは例によって原文を次の如く訓み下す。「忍ヶ岡ハ其ノ東北ニ亘リ一・・・ 永井荷風 「上野」
・・・ 根岸派の新俳句が流行し始めたのは丁度その時分の事で、わたくしは『日本』新聞に連載せられた子規の『俳諧大要』の切抜を帳面に張り込み、幾度となくこれを読み返して俳句を学んだ。 漢詩の作法は最初父に就いて学んだ。それから父の手紙を持って・・・ 永井荷風 「十六、七のころ」
中洲の河岸にわたくしの旧友が病院を開いていたことは、既にその頃の『中央公論』に連載した雑筆中にこれを記述した。病院はその後箱崎川にかかっている土洲橋のほとりに引移ったが、中洲を去ること遠くはないので、わたくしは今もって折々診察を受けに・・・ 永井荷風 「深川の散歩」
・・・外国語学校に通学していた頃、神田の町の角々に、『読売新聞』紙上に『金色夜叉』が連載せられるという予告が貼出されていたのを見たがしかしわたくしはその当時にはこれを読まなかった。啻に『金色夜叉』のみならず紅葉先生の著作は、明治三十四、五年の頃友・・・ 永井荷風 「正宗谷崎両氏の批評に答う」
出典:青空文庫