・・・特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立候補者の大部分は「政治と台所の直結」といい「女の問題は女で」といい・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・何百何千のひとは、今朝になるまで、この未曾有の遅延が、「質問順位で大荒れ」を理由とするとは知らず、二時間以上待っていた次第であった。きのう知らないばかりか、きょうになっても大荒れの必然はよく理解されまい。何故なら、普通の人の感情では質問の順・・・ 宮本百合子 「待呆け議会風景」
・・・ 高崎から、段々時間が不正確になり、遅延し始めた。軍隊の輸送、避難民の特別列車の為め、私共の汽車は順ぐりあと廻しにされる。貨車、郵便車、屋根の上から機関車にまでとりついた避難民の様子は、見る者に真心からの同情を感じさせた。同時に、彼等が・・・ 宮本百合子 「私の覚え書」
出典:青空文庫