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・・・松山中学時代には非常に綿密な教え方で逐字的解釈をされたそうであるが、自分らの場合には、それとは反対にむしろ達意を主とするやり方であった。先生がただすらすら音読して行って、そうして「どうだ、わかったか」といったふうであった。そうかと思うと、文・・・
寺田寅彦
「夏目漱石先生の追憶」
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・・・そういう意味のことが実に達意の文章で書いてある。あれを読んでわれわれは実に打たれた。ああいうふうに人生のことのよく解っている人ならば、あの哲学もよほど深いところのあるものに相違ない。そういう意味のことを岡本保三がわたくしに説いて聞かせたので・・・
和辻哲郎
「初めて西田幾多郎の名を聞いたころ」