[動ラ五(四)]
1 そこへ行かせる。さしむける。送り届ける。「子供を大学へ―・る」「使いを―・る」「手紙を―・る」
2 漕 (こ) いだり、走らせたりして進める。「車を―・る」
3 そちらへ向ける。「目を―・る」
4 目下の者や動物などに与える。くれる。「褒美を―・る」「鳥にえさを―・る」
5 心配などをまぎらすようにする。はらす。「酒に憂さを―・る」「思いを―・る」
6 何かをすることを、広く、または漠然という。する。行う。営む。「宿題を―・る」「今度の舞台で大星由良之介を―・る」「民宿を―・っている」
7 口にする。ちょっと酒などを飲む。「タバコは―・りません」「一杯―・る」
8 どうにか生活する。「この給料では―・っていけない」
9 (俗語で)危害を加える。「かたっぱしから―・ってしまえ」
10 (「殺る」とも書く。俗語で)殺す。「ひと思いに―・ってしまえ」
11 失敗する。「また―・ってしまった」
12 物事をうまくやる。なしとげる。「ついに―・ったぞ」
13 病気やけがをする。「三つの時に水疱瘡 (みずぼうそう) を―・った」
14 俗に、性交する。
15 逃がす。
「やあやあ者共、六郎―・るな遁すなと」〈浄・矢口渡〉
16 (他の動詞の連用形に付いて)
㋐(多く打消しの語を伴って用いる)動作が完了する意を表す。十分、または最後まで…する。「興奮がさめ―・らない」
㋑動作が広く、また遠くまで及ぶ意を表す。ずっと…する。「眺め―・る」「思い―・る」
17 (補助動詞)動詞の連用形に「て」を添えた形に付く。
㋐やむをえずするのだという気持ちや恩着せがましい気持ちで、目下の者のために何かをする。「相談に乗って―・る」「勉強をみて―・る」
㋑積極的にそのようにする。ことさらにそのようにしてみせる。「飛び降りて―・る」「舌をかみ切って―・る」
出典:青空文庫
・・・可哀がって遣るから、もっと此方へおいで」といった。 レリヤはこう・・・ 著:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ 訳:森鴎外「犬 」
・・・拍子に掛けて、トンと遣る、キイと鳴る、トントン、きりりと鳴く。 ・・・ 泉鏡花「海の使者 」
・・・みんな嫁さんに遣るんだぜ。」 とくるりと、はり板に並んで向をかえ・・・ 泉鏡花「海異記 」