・・・ 工場閉鎖、賃銀不払、労働強化、三百万の失業と農業恐慌――資本家地主は遂に満蒙で帝国対! ファシズム絶対反対! ソヴェト同盟を守れと叫ぶ日だ。現実、戦争に夫や兄弟を奪われ、物価騰貴と失業に苦しめられているわれわれが手をつかねてはいられぬ・・・ 宮本百合子 「婦人と文学の話」
・・・ この節、翻訳権の問題があって、すべてのジャーナリストが困却しているとおり、すべての翻訳家・語学者は活動を閉鎖された形である。生活問題はこれらの人々を真剣にしている。そして、これまで文化の上に軍国主義的鎖国をうけて来た日本の精神を開放し・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・そしてちょうど私の行った時最終日であった有名なニージュニの定期市――ゴーリキイが十代の時分この定期市の芝居で馬の脚をやったということのある定期市も、その一九二八年が最後で閉鎖された。ペルシャやカスピ海沿岸との通商関係は進歩して古風な酔どれだ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・八つで小学校に入れられたが、この時代、既に祖父は破産し、染物工場は閉鎖され、祖父、祖母、ゴーリキイの三人は、地下室住いにうつった。 吝くて狂人のようになった祖父と五十年連添った祖母との間に不思議な生活ぶりが始った。 祖父は倒産した家・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 祖父はやがて染物工場を閉鎖した。伯父の一人は自殺し、一人は家を出て、気違いのように吝くなった祖父と五十年つれそった祖母との間に不思議な生活が始まった。祖父と祖母とは、茶、砂糖から、聖像の前につける燈明油まで、きっちり半分ずつ出し合って・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・国内では工場が閉鎖され、農村で働き手がなくなって、パンが欠乏し、全く窮乏のドン底に陥っているのに、搾取者どもは、猶も愛国主義をふり立てて、労働者農民を大砲毒ガスの餌じきに送ろうとする。働く妻、働く母、働く娘は蹶起してその収奪に抗争したのであ・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
・・・昨今の形勢では折角それらの人々を教育してもかえって逆な利益の為に利用されることになってしまうので、残念ながら断然閉鎖に決心しました。 西日が表戸の真鍮板と売家の広告の上に照っている。真鍮板の「労働大学」という字がキラキラ往来に向って光っ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・軍需産業は直ちに閉鎖された。軍人は復員することになり、軍需産業に動員されていた五百五十万人の労務員は、殆んど全部が一旦は職場を失った。家々には、長い間待たれていた良人や父兄たちの姿が動くようになった。これは、辛棒に辛棒して来た婦人たちにとっ・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫