・・・そうしてことに私のように、詩を作るということとそれに関聯した憐れなプライドのほかには、何の技能ももっていない者においていっそう強く享けねばならぬものであった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 詩を書いていた時分に対する回想・・・ 石川啄木 「弓町より」
・・・それと関聯して、校庭にあった、あの一本の苛められた大杉の木が、傷ましい姿で、よく生を保ちつゝあった強い姿を忘れることができません。 また、村で、感冒が流行した時分にも、貧乏人の子供は、足袋も穿かず、木枯しの吹く中を薄着をして、少しも寒が・・・ 小川未明 「自分を鞭打つ感激より」
・・・虚無の自然と生死する人生とを関連する不思議な鍵です。芸術の中でも、童話は小説などと異って、直ちに、現実の生命に飛び込む魔術を有しています。 童話は、全く、純真創造の世界であります。本能も、理性も、この世界にあっては、最も自由に、完美に発・・・ 小川未明 「『小さな草と太陽』序」
・・・家族の中でも誰の声らしいと云いますから末の弟の声だろうと云ったのに関聯してです。私は弟の変声期を想像するのがなにかむごい気がするときがあります。次の話もこの日のOとの話です。そして手紙に書いておきたいことです。 Oはその前の日曜に鶴見の・・・ 梶井基次郎 「橡の花」
・・・ そんなふうではじめ吉田にはその娘のことよりもお婆さんのことがその荒物屋についての知識を占めていたのであるが、だんだんその娘のことが自分のことにも関聯して注意されて来たのはだいぶんその娘の容態も悪くなって来てからであった。近所の人の話で・・・ 梶井基次郎 「のんきな患者」
・・・カントは外の世界も、内の世界も徹頭徹尾因果律に支配されているとして、因果関連からの自由を否定した。自由とは第一原因が因果関連の中に入りこむこととした。自由とは自然法則に従って進行する一系列の現象を自ら始める絶対的に自発的な原因または能力と呼・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・それは純粋に専門的な技術家のみの結社であるが、技術は社会的・政治的問題と関連することなしには、その技術の任務と成果とをとげることができないと宣言しているのである。 かような事情である故、職能の習得のための読書もまた一般人生哲学的な課題の・・・ 倉田百三 「学生と読書」
・・・だがどうも事がそれに関連しているらしいので不安になった。彼は困惑した色を浮べた。彼は、もと百姓に生れついたのだが、近年百姓では食って行けなかった。以前一町ほどの小作をしていたが、それはやめて、田は地主へ返えしてしまった。そして、親譲りの二反・・・ 黒島伝治 「砂糖泥棒」
・・・ これらの戦争に関連した諸々の際物的流行は、周知の如く、文学作品として、歴史の批判に堪え得なかったばかりでなく、当時の心ある批評家から軽蔑された。第三章 日清戦争に関連して ―独歩の「愛弟通信」と蘆花の「不・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・此地の温泉は今春以来かく大きなる旅館なども設けらるるようなりしにて、箱館と相関聯して今後とも盛衰すべき好位置に在り。眺望のこれと指して云うべきも無けれど、かの市より此地まであるいは海浜に沿いあるいは田圃を過ぐる路の興も無きにはあらず、空気殊・・・ 幸田露伴 「突貫紀行」
出典:青空文庫