・・・ 昔、政党がさかんだった頃、自身は閣僚になる意志はてんで無く、ただ、誰かこいつと見込んだ男を大臣にするために、しきりに権謀術策をもちい、暗中飛躍をした男がいたが、良い例ではないけれども、まず、おれの気持もそんなとこだったろうか。 も・・・ 織田作之助 「勧善懲悪」
・・・内閣にしてもその閣僚の一人一人がいかに人間として立派な人がそろっていても、その施政方針がいかに理想的であっても、為政の手首が堅すぎては国運と民心の弦線は決して妙音を発するわけには行かないのではないか。 官海遊泳術というものについてその道・・・ 寺田寅彦 「「手首」の問題」
・・・きたるべき選挙に今日の政府は勝算をもっているかもしれない、それだから組閣のはじめに用心深くさまざまの疑獄事件にひっかかりそうな閣僚をさけました。社会党のくされぐあいがあんまりひどかったおかげで吉田内閣にそれよりはましな人のあつまりのような利・・・ 宮本百合子 「泉山問題について」
・・・ 大蔵委員会で、数百万の人々の生命に関する新給与問題を扱いながら酒に酔いくらって婦人代議士に無礼をするような閣僚をもつ政府はいやです、と全日本の婦人が発言したとして、それのどこが不自然だろうか。議員も閣僚たちもみんなわたしたちの税で、歳・・・ 宮本百合子 「今年のことば」
・・・なぜならば、我々は現在の政府が一般の信頼をかちえない人物を網羅していて政府閣僚は最近の新聞に報道されるどっさりの不正利得に関する事件および涜職事件に関係のない者はいないほどの有様である。現閣僚はスキャンダルにつつまれている。当分の間日本の人・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ふつう人の生活からひきあげられた便乗は、底の見とおせない独占資本とそれにつながる閣僚・官僚生活の黒雲のなかに巻きあげられて、魔もののようにとび交っている。 この頃、新聞に閣僚や官僚の不正利得が摘発された記事がでるようになった。罪のな・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・しかもその少部分のセメントが、どんな風につかわれているかといえば、一番ひどい例は、先頃問題となって辞職した現内閣閣僚の一人であったひとが、自分のうちの子供のためにコンクリート建十坪の天文台をこしらえているというような実例さえあります。私たち・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・その指導者と考えられる五百余名の人々の、四〇パーセントが閣僚、代議士であることも知っていなければならない。人道主義的な立場から、また社会改善の道から共産主義に同感の点をもつ進歩的な人々の数は、今日の世界で数字的に想像されているよりも多い。・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫