・・・が、同時に入露以前から二、三の露国革命党員とも交際して渠らの苦辛や心事に相応の理解を持っていても、双手を挙げて渠らの革命の成功を祝するにはまた余りに多く渠らの陰謀史や虐殺史を知り過ぎていた。 二葉亭の頭は根が治国平天下の治者思想で叩き上・・・ 内田魯庵 「二葉亭追録」
・・・佐竹の陰謀なんて糞くらえだ!」ふいと声を落して、「君、起きろよ。雨戸をあけてやろう。もうすぐみんなここへ来るよ。きょうこの部屋で海賊の打ち合せをしようと思ってね」 私は馬場の興奮に釣られてうろうろしはじめ、蒲団を蹴って起きあがり、馬場と・・・ 太宰治 「ダス・ゲマイネ」
・・・真の犯人はナチスであるが、それを口実に共産党への大弾圧を加えるために、計画された陰謀であった。また反ナチ派の勢力の下にあったバイエルン州のミュンヘンでは、この報知をきいても、ナチの悪計とは知らず、エリカ・マンの胡椒小屋は謝肉祭の大陽気で、反・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ 一九三〇年の冬、世界じゅうの注視の的となったソヴェト同盟内の重要な地位にある技師、学者、役人等による大反革命陰謀、産業党の例を見ても、プロレタリア階級の技術家がどんなに大事かは明瞭だ。 ロシア共産党は大会において、生産組合、労働組・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・技師が生産組織の内部で、反革命的策動をやる例は、一九二八年、国家保安部によって摘発されたドン炭坑区に於けるドイツ資本家と結托した大規模な反革命の陰謀を見てもわかる。ソヴェトの党・労働組合がプロレタリアートの中から優良な技術家を養成しようとし・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・などは、もっともっと目に見るように支配階級のこういう陰謀を摘発し、赤松らの憎むべき役割の撃破についてアジプロしなければならぬ。そう思うのであった。 梅雨期の前でよく雨が降った。中川は十日に一度ぐらいの割で、或る時はゴム長をはいてやっ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・山口一太郎氏の二篇の実録をよむと、この人が二・二六事件をクライマックスとする陸軍部内の青年将校の諸陰謀事件に、密接な関係をもっていたことがはっきり書かれている。同氏は二・二六事件の本質を、陸軍内部の国体原理主義者――皇道派と、人民覇道派――・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・「ブルジョア反ソヴェト陰謀ヲブッ潰セ!」 次から次へ赤いプラカードが来る。あいまには、張物だ。ブルジョア、地主、坊主が、社会主義社会建設のために働くプロレタリアの鉄の鎚で、それぞれ頭をドッカン、ドッカンやつけられながら進んで来る。・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・ブルジョア・ジャーナリズムさえ、その規模の大さと国際的計画とで、驚きを示さずにいられなかったソヴェトにおける産業党の大陰謀が発覚した。 これまでだって、ソヴェトのプロレタリアートは幾度か国際的な陰謀によって生産妨害を受け、それを撃退して・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・日本の検察当局が事実正義を愛する者の味方であるならば、この陰謀の一つであるこの公訴を即刻とり消すべきである。」と。 偽証罪で公訴されている石川政信元鉄道技術研究所員と金忠権元『三多摩民報』記者らはこう陳述している。「私は一ツ云いたいこと・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
出典:青空文庫