・・・ 黄色い羽形の上についた信号燈の色 赤、青○こわれた電燈カサが床の間の隅っこにいつからか置いてある。○大雨 急行がとまっている。「久栄で 白米一俵とりにきよった たき出しでもするじゃあろうて」 汽車/Kisha ・・・ 宮本百合子 「Sketches for details Shima」
・・・ 二人は可笑しさを堪えかねた様にして隅っこの椅子によっかかって戸の開くのを待った。「いついらっしゃったんです、 さあっきっからあすこに居たんですか。 赤い様な顔を(千世子ははずむ様な声で云った。「ええ。・・・ 宮本百合子 「千世子(三)」
・・・私どもが民主的に生きるならば、小林を殺した治安維持法のことをもう一遍考え直し、小林を殺した力と徹底的に闘うということ、そのためには民主的な社会、民主的な文化というもので日本の隅っこにまだたくさんいる反動的な力を打砕かなければ私どもの人生は決・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・これから話すお婆さんは、ああいう横町を、どこ迄もどこ迄も真直に行って、曲ってもう一つ角を曲ったような隅っこに住んでいました。それは貧乏で、居る横町も穢なければ家もぼろでした。天井も張ってない三角の屋根の下には、お婆さんと、古綿の巣を持つ三匹・・・ 宮本百合子 「ようか月の晩」
・・・ 大体声が足りない。隅っこに引込んで樹の枝の下から肺活量の足りない声が休日の労働者のまばらなかたまりの上に散った。人気があるのは、 ┌─────┐ │自由思想家│ └─────┘ 台をかこんでびっしり帽子の・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫