・・・さきごろ、モンテエニュの随想録を読み、まことにつまらない思いをした。なるほど集。日本の講談のにおいを嗅いだのは、私だけであろうか。モンテエニュ大人。なかなか腹ができて居られるのだそうだが、それだけ、文学から遠いのだ。孔子曰く、「君子は人をた・・・ 太宰治 「碧眼托鉢」
・・・のなかに生きつつ、他の多くの例に見るように、それへの内面的抵抗を、歪んでも自分で歪みの見えない主観のなかに立てこもることで、即ち評論から随想へ転落する方便に求めていず、刻々の生きた動を執拗に文学の原理的な問題に引きよせて理論的に追究しようと・・・ 宮本百合子 「作家に語りかける言葉」
・・・ 科学者の随筆的随想 科学者の社会的関心が積極的になった一つの表現として、一般のジャーナリズムの上での科学者の文筆活動の旺になったことが挙げられていることがあった。特に知名な科学者の随筆などが求められる傾きがつ・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・例えば窪川いね子の「一婦人作家の随想」を開いて見よう。私達は頁の到るところで、そういう日本の歴史的な重圧と揉み合っているプロレタリア婦人作家の努力の姿にうち当るのである。プロレタリア作家の場合、斯の如き重圧と闘うという方向において婦人作家は・・・ 宮本百合子 「夫婦が作家である場合」
出典:青空文庫