・・・ この欠陥を補うものはまず第一に個人の日記、随感録のごときものである。そういうものが後代に愛読され尊重されるのは、必ずしもそれが「文章」であるためではなくて、それが「記録」であるためであろう。殿上の名もない一女官がおぼつかない筆で書いた・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・ レビュー見学のノートから脱線してつい平生胸に溜まっていた教科書の不平をこぼしてしまったが、こういう脱線もまた一つのレビュー的随感録の一様式中の一景として読者の寛容を願いたいと思う。 政府の統制の下に組織された教育のプログラムがレビ・・・ 寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
・・・ 匆卒の間に筆を執ったためにはなはだ不秩序で蕪雑な随感録になってしまったが、トーキーの研究者に多少でも参考になることができたら大幸である。もし他日機会があったら、もう少し系統的にこれらの問題を考究してみたいという希望をもっている。・・・ 寺田寅彦 「耳と目」
出典:青空文庫