・・・その重々しい文学士が下等新聞記者の片手間仕事になっていた小説――その時分は全く戯作だった――その戯作を堂々と署名して打って出たという事は実に青天の霹靂といおう乎、空谷の跫音といおう乎、著るしく世間を驚かしたものだ。 自分の事を言うのは笑・・・ 内田魯庵 「明治の文学の開拓者」
・・・ ただこれだけで、跡はなんにも言わない。青天の霹靂である。一同暫くは茫然としていた。笑談だろうか。この貴族先生の顔色を見るに、そうは受け取れない。世界を一周する。誰一人それを望まないものはない。しかしどんな条件があるのだろうと、誰も猶予・・・ 著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外 「世界漫遊」
出典:青空文庫