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・・・大唐、便ち左右より船を夾みて繞り戦う。須臾の際に官軍敗績れぬ。水に赴きて溺死る者衆し。艫舳、廻旋することを得ず。」(日本書紀 いかなる国の歴史もその国民には必ず栄光ある歴史である。何も金将軍の伝説ばかり一粲に価する次第ではない。・・・
芥川竜之介
「金将軍」
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・・・散歩の人たちは、蜘蛛の子を散らすように、ぱあっと飛び散り、どこへどう消え失せたのか、お化けみたい、たったいままで、あんなにたくさん人がいたのに、須臾にして、巷は閑散、新宿の舗道には、雨あしだけが白くしぶいて居りました。博士は、花屋さんの軒下・・・
太宰治
「愛と美について」