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・・・しかし造物主は、人間の食用のためにし、玩賞のためにし、また使役するためにせんと、創造したものではなかったでしょう。もし、かく思うならば、誤信にすぎないのであります。なぜなら、彼等は、自ら生存し、自ら楽しみ、自ら種族を遺す自由を有しているから・・・
小川未明
「天を怖れよ」
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・・・俳諧歳時記を繰ってみてもわかるように季節に応ずる食用の野菜魚貝の年週期的循環がそれだけでも日本人の日常生活を多彩にしている。年じゅう同じように貯蔵した馬鈴薯や玉ねぎをかじり、干物塩物や、季節にかまわず豚や牛ばかり食っている西洋人やシナ人、あ・・・
寺田寅彦
「日本人の自然観」