・・・ところがこの論理の不徹底な、矛盾に満ちた、そして椏者の言葉のように、言うべきものを言い残したり、言うべからざるものを言い加えたりした一文が、存外に人々の注意を牽いて、いろいろの批評や駁撃に遇うことになった。その僕の感想文というのは、階級意識・・・ 有島武郎 「片信」
・・・その仏を駁撃するはあたかも儒者流の私なれども、この私論の結果をもって惑溺を脱したるは、偶然の幸というべし。支那の儒者も孔孟の道を尊び、日本の儒者も孔孟の書を読み、双方ともにその教の源を同じゅうして、その社会に分布したる結果において、まっ・・・ 福沢諭吉 「物理学の要用」
・・・神の摂理である善である然るに何故にマットン博士は東洋流に形容するならば怒髪天を衝いてこれを駁撃するか。ここに至って畢竟マットン博士の所説は自家撞着に終るものなることを示す。この結論は実にいい語であります。これ然しながら不肖私の語ではない、実・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
出典:青空文庫