・・・ここに重大な問題の骨子があるような気がするのである。これはぜひともしかるべき人々の慎重な考究にまつべきではないかと思う。 寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
・・・ 不自由な環境によって生み出された不自然な現象の一つとして一人の女生徒マヌエラと一人の女教師フロイライン・フォン・ベルンブルヒとの間の不思議な関係が生じ、それがこの映画の演劇的な部分のおもなる骨子となっている。この葛藤に伴なう多くの美し・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
・・・少なくもアインシュタイン以前の力学や電気学における基礎的概念の発展沿革の骨子を歴史的に追跡し玩味した後にまず特別相対性理論に耳を傾けるならば、その人の頭がはなはだしく先入中毒にかかっていない限り、この原理の根本仮定の余儀なさあるいはむしろ無・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・ 勿論上下、貴賤、貧富の差はあっても、同じ様に男女関係を骨子としてある。 そのなりゆきを序す筆の達者さ、巧な人物の描写法、活用法に一つ一つ独立させて、異った時に読めばあきる事をしらないのである。 いかにも、上手に書かれてあると思・・・ 宮本百合子 「紅葉山人と一葉女史」
・・・以上は放送委員会案の骨子であり、放送委員会は目下精力的に法案の作成に着手している。来る八月初旬に再び大規模の公聴会がひらかれるであろう。 四、東宝のその後。 日本の民主化とともに最も積極的に従業員組合を組織し、文化的に娯楽的に優・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・という論文を骨子として、反プロレタリア文学の鮮明な幟色の下に立った。同人としては中村武羅夫、岡田三郎、加藤武雄、浅原六朗、龍胆寺雄、楢崎勤、久野豊彦、舟橋聖一、嘉村礒多、井伏鱒二、阿部知二、尾崎士郎、池谷信三郎等の人々であった。中村武羅夫の・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
日本の文学と文学者とは、最近数年の間に極めて容赦のない過程で、政治というものについて、目をさまされて来た。 大体日本文学は、その歴史の発端から、風流を文学の芸術性の骨子として、社会生活から或る程度離脱した位置に自身をお・・・ 宮本百合子 「生活においての統一」
・・・が、日本では、プロレタリア文学運動をうちこわした治安維持法への恐怖から、人民戦線運動の骨子である社会性、近代社会の民主性の主張をぬきとって、この人民戦線運動が説明された。反ナチの運動は、決してドイツのナチズムへの遠い抗議でなかった証拠である・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・ 凡そ二時間もかかったろうと思えるその講演の骨子として、漱石は権力と金力とに対する人間性の主張を説いている。いわゆる名門の子弟を教育する学習院は、そのころから伝統的な貴族や学者の子弟ばかりでなく金力であがなった爵位で貴族生活の模倣をたの・・・ 宮本百合子 「日本の青春」
・・・は、上述の女性と職業の問題を骨子としたものです。 純文学的の立場からではなくその小説を一読した女性の一人として、大体の筋の紹介と、簡単な感想を述べたいと思います。 ロザリーは、英国のイボッツフィールドの教区長の末娘に生れました。・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
出典:青空文庫