・・・ これはなかなか意味の深い点で、文化の問題として客観的にみるとある意味ではパール・バックその人がどこまでこの高度資本主義的な階級心理から自由であるかということも考えられてきます。他の三人の婦人たちの善意とまじめさにみちた返事についても、・・・ 宮本百合子 「アメリカ文化の問題」
・・・創作においてもわれわれがプロレタリア作家として互に要求しているだけ雄大で高度で、かついきいきとしたプロレタリアートの生活描写において大衆をすいよせるような作品は出ておらぬ。 だからといって作家同盟の方向が根本的に誤っているとか、または林・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・そして、明日はと全く別なところへ移動させられ、技術は只迅いとか仕上げが奇麗とかいうところでだけ評価され、決してそのひとがより精密な高度なトレーサアとして成熟してゆくような機会はなく、こきつかわれる。給料は勿論やすい。やすいからこそ女があらゆ・・・ 宮本百合子 「女の歴史」
・・・この科学者は「私は婦人が高度な知能活動に適するとは思わない」という意味の言葉を書いているのであった。女である私たちは、大科学者のこの言葉によって一度は確にしょげるのだけれど、やがてこころひそかな勇気を自分たちの内に感じると思う。何故なら、す・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・ コフマンの仮定をうけ入れるとして、人類の遠い遠い祖先の女が針らしきものを社会生活にもちこんで以来、今日まで、女性のよりよく生きたいという希望は社会の発展とともにあらゆる面で複雑になり高度にもなって来ている。 幾世代の歴史の間で、人・・・ 宮本百合子 「家庭創造の情熱」
・・・ 第一に、どんな小さいどの陣営の作品をとりあげた場合でも、その批評をよむと、ハハア、小説を読むときはこういうところが急所なんだナと納得のゆくように批評を書いて行くことである。 高度な理論に関するものでも、もしその人が全体の関係におい・・・ 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・経済なら、経済に関して読むべき本が一通りまとめ初歩的なものから高度なものまで並べてある。 党に関したものにしろ、ロシア共産党史から、コミンテルンに関するもの、五ヵ年計画に関するパンフレットに至ってはブハーリンの誤謬を簡単に説明したものま・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・「なるほど……赤坊の手を捩るようなものだから放っておいたんだが、この頃メキメキ高度になって来たじゃないですか、え? こんなに高度になっては放っても置けない、え? そうでしょう?」 四月号の時評だの、投書だののあっちこっちに赤線が引っ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・と云われたことは、社会主義リアリズムへ展開して、もとよりその核心に立つ労働者階級の文学の主導性を意味しているのであるが、前衛の眼の多角性と高度な視力は、英雄的ならざる現実、その矛盾、葛藤の底へまで浸透して、そこに歴史がすすみ人間性がより花開・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・ 今日の最新技術を駆使して高度に合理化されている重工業工場の生活が、そこで働いている優秀な勤労者たちの精神と肉体とに求めているテムポとリズムとは、どういうものであろうか。現代の科学の能力を最大限に発揮して刻々に活動している機械の速力、能・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
出典:青空文庫