・・・もつべきだというテーマの対談で、黒人博士バンチの談話は現実に平和のために働いている人としての具体性が感銘を与えた。ラルフ・バンチ博士はパレスチナ紛争調停の功によって、黒人として初のノーベル賞受賞者である。 バンチ博士の話の中で次の数行に・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・ ○ 私が去年の夏行っていた、或る湖畔には、非常に沢山黒人がいた。白い皮膚を持った人々が彼等をどんなに待遇するか、どんな心で彼等を見ているか。 解放された奴隷は、又解放された奴隷として彼等の子を遺して行く・・・ 宮本百合子 「一粒の粟」
・・・――わたしたちがくれぐれも忘れてならないことは、そのアフリカの奴隷市、奴隷港でも、黒人奴隷売買の親方は同じ黒人の酋長や金持であったという事実である。 日本人民の運命には重大な危険がかくされている。それを念頭において今日の政治を観察し・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・ 耳の長いドンキに、綿をつんで、赤ちゃけた道をコロコロと転って行く黒人。 南へ来るにつれて、初冬のかたさが、天地にうちにとけて、ほの暖く成って来る。 Blacksburgに来るとステーションに、Coloured, W・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
・・・手にカバンを下げた人や袋を持った人々が、さもいそがしそうに、出入りする中に混って、大きな黒人の赤帽が、群を抜いて縮毛の頭を見せています。 紐育と云う市は、何方かと云えば商業の中心地でありますけれども、華盛頓は皆さんも御承知の通り政治の中・・・ 宮本百合子 「私の見た米国の少年」
・・・しかし諸君の前に一人の黒人が現われたとする。一眼見れば直ちにその黒人である事がわかるだろう。デュウゼは黒人である。 また足をもって名画をかくラファエロが現われたとする。足を手と同じように使う点においては彼は古今独歩である。しかしその名声・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫