・・・の翻訳で読み、あるいは英語の教科書中に採録された原文で読んだりした。一方ではまた「経国美談」「佳人之奇遇」のごとき、当時では最も西洋臭くて清新と考えられたものを愛読し暗唱した。それ以前から先輩の読み物であった坪内氏の「当世書生気質」なども当・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・中には現在の形での意味がかなり明白だと思うのがあってもかりに除かないで採録しておくことにする。第一表アソ・アサマ型AsoUsuUnsen, Unzen・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・という題で既刊の著書中に採録されている。それの草稿が遺族の手もとにそのままに保存されていたのを同氏没後満三十年の今日記念のためにという心持ちでそっくりそれを複製して、これに原文のテキストと並行した小泉一雄氏の邦文解説を加えさらに装幀の意匠を・・・ 寺田寅彦 「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」
・・・ 上記のごとき自由な気持で読んでくれる読者とちがって自分の一番恐縮するのは小中学の先生で、教科書に採録された拙文に関して詳細な説明を求められる方々である。「常山の花」と題する小品の中にある「相撲取草」とは邦語の学名で何に当るかという・・・ 寺田寅彦 「随筆難」
・・・他日機会があったらもう少し補充してまとめたいと思っているが、本書所載の他の論文にしばしば引き合いに出ている関係上参照の便宜のためにこのままここに採録した次第である。 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・わたくしはもし当時の遊記や日誌を失わずに持っていたならば、読者の倦むをも顧ずこれを採録せずにはいなかったであろう。 わたくしは遊廓をめぐる附近の町の光景を説いて、今余すところは南側の浅草の方面ばかりとなった。吉原から浅草に至る通路の重な・・・ 永井荷風 「里の今昔」
・・・ 難事の一は改造社という書肆が現代文学全集の第二十二編に僕の旧著若干を採録し、九月の十五六日頃に之を販売した。すると編中には二十年前始て博文館から刊行した「あめりか物語」と題するものが収載せられていたので、之がため僕は九月二十九日の朝、・・・ 永井荷風 「申訳」
・・・福沢先生その誣罔を弁じ、大いに論者の蒙を啓かんとて、教育論一篇を立案せられ、中上川先生これを筆記して、『時事新報』の社説に載録せられたるが、今これを重刊して一小冊子となし、学者の便覧に供すという。 明治一五年一一月編者識 ・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
・・・と相照応して面白く覚えたれば爰に載録す。写生画もまた子規子の画として面白けれど載すること能はざるは遺憾なり。猫の写生画 明治卅二年十月九日「飯待つ間」といふ原稿書きをへし処に、彼子猫はやうやくいたづら子の手を逃れ・・・ 正岡子規 「飯待つ間」
出典:青空文庫