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・・・小さかったナチスがそういう支援・投資を得て怪物的な成長をとげ世界を攪乱しはじめて一九三八年以来、世界平和のため、自分たちの人民生活・国家の存在の擁護のために自分の息子たち孫たちを前線に送らなければならなくなったのは、ほかならぬかつてのナチス・・・
宮本百合子
「それらの国々でも」
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・・・名物の紙鳶揚も春とともに終った長崎の若葉を濡して、毎日雨が降る。Yは、哀れな、腕が痛く心が重いので、雨を冒してまで方々を歩き廻る気になれず、従って私も部屋で、宿から借りた長崎風土記など読む。可愛く若い福島屋の細君が、「――鶴の枕でも、御・・・
宮本百合子
「長崎の印象」