・・・は母性と私有財産制のみっともない結びつきを革命的に截断し、がっちり社会主義社会連帯の間に母性を組みなおした。職業組合に属さぬ勤労婦人はない。生れて、彼を社会成員として受けいれる組織をもたぬ赤坊はない。 これだけのことを知って、みなさん、・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・こればかりでなく、新しく籠に入れられ、自分達の巣を定めようとする時にも、雌雄はその態度が異う。雌が、ふるくからいるものに驚かされて、やたらに籠中を逃げ廻ったり、そうかと思うと呑気そうに羽づくろいや身じまいなどをする間に、雄は、攻撃的に、動的・・・ 宮本百合子 「小鳥」
・・・いい病院がほしいということ、いい図書館がほしい、いい託児所がほしい、というわたしたちの希望は、それを自分の所有として、私有の財産として登記したい心もちとはちがいます。社会のもの、みんなのものとして、そういうものがあればよい。現在金もちだけの・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・や家族、私有財産及び国家の起源に関するエンゲルスの著作などは、その見解に対する賛否はいずれにせよ、その部門での古典として何人も読まざるを得ないものであるから、既にこれらの極めて具体的でありリアリスティックな諸研究のうちに十分とりあげられ、そ・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・ 個人個人の間の恋愛形態が社会にどれだけ連帯責任をもつかということよりはむしろ旧時代の恋愛および結婚生活が絶対のものであるという私有財産制から発生したブルジョア一夫一妻制の宗教的考えを打破するに急であった。 だけれども現在は建設時代・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
・・・ ロシアの家庭の問題については、資本主義的私有財産制を基礎とした家庭というものは勿論崩壊している。併し独立した社会人としての家庭の各員が共同の連帯責任を以て、社会人としての義務をお互に果して行く家庭は勿論鞏固に発達している。が、普通の概・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・において六〇年代の溌剌たる青年男女をとらえようとしたツルゲーネフは、自分たちを現実主義者と名づけ、宗教、私有財産制、そこから生じる一切の不合理、暗愚と偽瞞をとりのぞいて知慧の光に輝く社会の共同生活を発見しようとしている若い急進的青年を「ニヒ・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ 婦人に対して、社会が、生存の基本になるモラルとして、貞操を要求しはじめた第一歩は、私有財産というものが人間社会で権威をもちはじめた時期と歴史の上で一致している。そして、婦人は、世界史的に、原始の自然な女としてののびやかさを失い、家長、・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・社会主義の社会での婦人勤労状態や日常生活のあらそいを理解しており、「家族・私有財産・国家の起源」も婦人の歴史的地位を語る本としてあれほど分って読んだと思うのに、身に迫った男女関係の著しく不幸な戦後的混乱の前には、われからたじろぐ感情があるこ・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・こんにちエンゲルス「家族・私有財産・国家の起源」「空想より科学へ」マルクス「賃労働と資本」などは婦人の常識の基礎としても必読の本である。 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫