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・・・そうして、栗鼠が(註、この篇の談者、小県凡杯は、兎のように、と云ったのであるが、兎は私が贔屓後脚で飛ぶごとく、嬉しそうに、刎ねつつ飛込んで、腰を掛けても、その、ぴょん、が留まないではずんでいた。 ――後に、四童、一老が、自動車を辞し去っ・・・
泉鏡花
「燈明之巻」
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・・・すばしっこい火箸のような、痩せッこつの七五郎が、板の橋を渡って公会堂に様子をさぐりに、ぴょん/\はねとんで行った。「おい、のんでるぞ、のんでるぞ!」 踏みつけられたような笑い方をしながら七五郎は引っかえして来た。「何に、のんでる・・・
黒島伝治
「土鼠と落盤」