・・・ すべての人民は働く権利がある、ということが男女差別の扱いなく行われ、すべての働いて生きる者は必要な社会保険によって最低保障は与えられるということが実現しなければ、結婚という一つの場合だけでさえ当事者の「自由な意志」というものは、皮肉な・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・失業保険はないし、年とるまで工場で搾られ、あげ句に放り出されれば乞食でもするしか生きる道がなかった。 工場に働くプロレタリアートと地主の野良を耕す貧農にとって、暮らしの辛いこととブルジョアと地主とにしぼられることは、男も女も全く同じだっ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・何故なら、勤労婦人の現実の生活を身軽に、幸福にする各区の無料病院、託児所、診療所、母子健康相談所、共同食堂の経営などは、みんな市ソヴェトの保健部の仕事と関係があります。 ソヴェト政権は、勤労婦人に出産前後四ヵ月の給料つき休暇と、月給の半・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・ 革命後、ソヴェト同盟の保健省は工場、農村の勤労者たちをいい家に住まわせようと、大努力をやっている。共同住宅建築組合に補助金を出してドシドシ労働者住宅を建てているばかりか、新しく出来る大工場には、必ず附属の新式な住宅がある。 モスク・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・ソヴェトの保健省は全国民を無料で医療させるということを目標にしている。農村の方の衛生準備はどうしても遅れていて、今度五ヵ年計画で診療所を非常に殖やすということで、医者を地方に派遣する新しい規定とか、いろいろなそういうものを制定している。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・その頃でさえ、全露作家協会の共同金庫は、生活に余裕ない作家の生活援助のために保健費を出したり、原稿料の一部の前借を計らったり、消費組合をもって燃料、織物などの共同購入の便宜を計らっていた。一九三〇年頃には便利な食堂も出来ていた。ノビコフ・プ・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・体位向上徒歩奨励、幼児保健の問題、戦没者の母子寮の設立などと全く背までくっついていて離れられない双生児の歩む姿である。 風俗の心理というものは、このどちらかの一方にだけ範囲を限ってそれぞれのものがあるのではなくて、日常生活における二つの・・・ 宮本百合子 「風俗の感受性」
・・・第三回目の分に保健婦である婦人の手記があったと思います。それから告白など。悪戦苦闘手記にかたよらず、人はいろいろむずかしさを通して、人間らしくどう生きるかということをひろいところから考えに訴えるように。一、「きけわだつみのこえ」に「読み・・・ 宮本百合子 「「未亡人の手記」選後評」
・・・先ず陸軍大臣が保健省設立を提案するという興味ある形で今日とりあげられている青年男女の体格低下の問題や、婦人労働者の退職手当金の問題、又頻々たる心中事件の意味など、恋愛論が、恋愛論の枠の中を廻っていただけでは解決し得ぬ先行的事情が、附随してと・・・ 宮本百合子 「もう少しの親切を」
・・・職業組合やソヴェト保健省が、つまり解放されたプロレタリアート自身が、社会連帯によって強く次の時代を保護しているのだ。 九月×日。 電車の窓から一生懸命街の様子をのぞいて行く。というのは、別に珍しいものがあるわけではない。電車をどこで・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
出典:青空文庫