・・・(「走れメロス」その義、神 亀井勝一郎君からも手紙をもらった。 友人は、ありがたいものである。一巻の創作集の中から、作者の意図を、あやまたず摘出してくれる。山岸君も、亀井君も、お座なりを言うような軽薄な人物では無い。この二人・・・ 太宰治 「自作を語る」
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野・・・ 太宰治 「走れメロス」
・・・私は四、五はい水を飲んで、さらにもう一冊の創作集を取り上げ、「走れメロス」という近作を大声で読んでみました。するとまた言いたい事も出て来たので、水を飲み、こんどは友情に就いて話しました。「青春は、友情の葛藤であります。純粋性を友情に於い・・・ 太宰治 「みみずく通信」
出典:青空文庫