・・・壁は暗緑色の壁紙、天井壁の上部は純白、入口は小さくし、一歩其中に踏入ると、静かな光線や、落付いた家具の感じが、すっかり心を鎮め、大きく広い机の上の原稿紙が、自ら心を牽きつけ招くようにありたい。 壁に少し、愛する絵をかけ、ゆっくりと体をの・・・ 宮本百合子 「書斎を中心にした家」
・・・ 成長をうながす一つの方法として、一部では隣組に主婦会をおいて、主婦というものを一つの職能として上部の組織へも代表を送り出して発言する可能をつくろうと考慮中らしい。 主婦という立場を職能とみるべきであるという考えは、日本の新体制から・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・が、この素焼きの円筒の中には、上部をいろいろな形象に変化させたものがある。その形象は人間生活において重要な意味を持っているもの、また人々が日ごろ馴れ親しんでいるものを現わしている。家とか道具とか家畜とか家禽とか、特に男女の人物とかがそれであ・・・ 和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
出典:青空文庫