・・・なお床下通り二十九番地ポ氏は、昨夜深更より今朝にかけて、ツェ氏並びにはりがねせい、ねずみとり氏の激しき争論、時に格闘の声を聞きたりと。以上を総合するに、本事件には、はりがねせい、ねずみとり氏、最も深き関係を有するがごとし。本社はさらに深く事・・・ 宮沢賢治 「クねずみ」
・・・に対して与えられた批評の性質こそ、多くの作家が陥っていた人生的態度並びに文学作品評価についての拠りどころなさ、無気力、焦慮を如実に反映したものであった。 正宗白鳥が、「ひかげの花」を荷風の芸術境地としてそれなりに認め、「人生の落伍者の生・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・其は私共に、或る力の存在の理論的価値と、実践的価値との間に何等かの逕庭の存する事、並びに、其等のより徹した運用に就て、何等かの教と暗示とを与えて呉れるだろうと思うからなのでございます。 C先生。 考えるべ・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・いい気持で、傲慢な罵倒をしているのは小ブルの自己満足であるといわれても、筆者がもし、自己満足のためにそれを執筆せず、傲慢を志してもいない時、それは批判者並びに筆者にとって、何らの発展をももたらさないであろう。 同志林の「眼鏡をかけた雌蛙・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 人としての彼を選んだ自分は、人として、彼並びに自分を活さなければならないのだ。 ――○―― 彼が帰朝以前から問題に成って居る、分家問題は、此の二三日に於てそのクライマックスに達した。 親達の意見は、物質的に・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
出典:青空文庫