・・・これらの種類を列挙するのは本文の範囲以外になるから、これは他日に譲るとして、ここには専ら骨董趣味という点から見て二つの極端に位する二種の科学者を対照して見ようと思う。 科学者の中にはその専修学科の発達の歴史に特別の興味を有っている人が多・・・ 寺田寅彦 「科学上の骨董趣味と温故知新」
・・・畢竟するに其気品高尚にして性慾以上に位するが故なりと言わざるを得ず。曾て東京に一士人あり、頗る西洋の文明を悦び、一切万事改進進歩を気取りながら、其実は支那台の西洋鍍金にして、殊に道徳の一段に至りては常に周公孔子を云々して、子女の教訓に小学又・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・霊心の議論なり。霊心の位するところは人体の頭脳にあり。然らばすなわち人として脩心の学を勤めざる者は、なお首なき人の如し。第八、経済学 人間衣食住の需用を論じこれを製しこれを易え、これを集め、これを散じ、人の知識礼義を進めて需・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・俳人として第一流に位する蕪村の事業も、これを広く文学界の産物として見れば誠に規模の小なるに驚かずんばあらず。 蕪村は鬼貫句選の跋にて其角、嵐雪、素堂、去来、鬼貫を五子と称し、春泥集の序にて其角、嵐雪、素堂、鬼貫を四老と称す。中にも蕪村は・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ ――どの位するかい? 切符は。―― ――場所によるが、五十カペイキから六、七ルーブリだ。 ――間に段々があるんだろうが、高いな。 ――高い。ソヴェトも断然それは認めている。だから、これまでだってやすくすることに一生懸命んな・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
出典:青空文庫