・・・吉田は出しゃばりだった。だが人がよかったので、自分が出しゃばって物事に容喙して、結局は、自分がそれを引き受けてせねばならぬことになってしまっていた。二人が一緒にいると、いつも吉田が、自分の思うように事をきめた。彼が大人顔をしていた。それが小・・・ 黒島伝治 「雪のシベリア」
・・・ とすぐに出しゃばり、「それは、どんなんです? やはり、アメリカのものなんですか? いつ、配給になるんです?」 人絹と間違っているらしいのだ。あまりひどすぎて一座みな興が覚め、誰も笑わず、しかめつらになった。 眉山ひとり、い・・・ 太宰治 「眉山」
・・・の出版を、よろこぶの心のあまり、ひどく、不要の出しゃばりをしたようである。許したまえ。悪い心で、したことではなかったのだから。許さぬと言われるなら、それに就いて、他日また、はっきり申しひらきいたします。 或るひとりの男の精進・・・ 太宰治 「碧眼托鉢」
出典:青空文庫