・・・やすいものを早く、どっさりこしらえて、できるだけあっちこっちに売りさばかなければならず、その原料仕入れに気も狂わんばかりあせり立って、あらゆる国際間の利害にからんで、戦争ばかりしつづけてきた。 西欧精神と日本の近代精神を比較して、日本の・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・ 重工業の発展はソヴェトの尨大な野を統制ある農業生産場、工業原料の生産場とかえつつある。農村の活溌な社会主義的発達はとりもなおさず都会の重軽工業を敏活に運転させる調帯だ。都会から農村へ、農村から都会へ。――СССРの地図は、搾取すべき殖・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・農村は都会の工場へ安い原料、労働力を提供して都会の工場主たちがこしらえた高い生産品を買わされている。特に日本のように農業の方法及び、地主と小作との関係が封建的な形のままで残されているところでは、農村の支配的な物の考え方はどうしても封建的な物・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・都会の工業生産と断然結合すべき、社会主義的生産に欠くべからざる工業原料生産の核心なのだ。 拍手! 熱心な拍手。もう聴衆は一人も笑っていない。 日本女は心に一種のおどろきを感じつつあたりの顔々を眺めまわした。どうだ、この気の揃いようは・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・そして、一方に、悪妻的さもしい手を用いる隙を与えないように、原料その他の価が考慮されて欲しい。 教員の生活保証 事変以来、小学教員の不足と、その不足を至急に補うことから生じる質の低下とは心ある者を考えさせていた・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・炊事でもめいめいが台所で僅の材料を買って、時間を費して、大して美味くもないものを拵えて食べているより、モスクワでは既に出来ているが、大きな厨房工場、台所工場、そこで科学的に原料を調べて、この牛肉は何時に殺した肉だから、何時間後に何分煮て食べ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
世界の経済恐慌につれて、日本でも種々の生産が低下し、それにつれて燃料原料となる石炭は二割七分の生産減を見た。北九州地方の炭坑労働者の生活などはこの頃以前にましてひどい有様になって来ている。 これは北九州の或る坑山で実際・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・それにもかかわらず、農村の生産必需品の原料ともなる物資は、いくらかくしておいても罪にならず、ただ買い上げられる丈で米を自分でこしらえる農民が、出さないからと、三年以下の体刑、一万円以下の罰金を予約されているのは、いかにも人間らしくなくて苦し・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
出典:青空文庫